筆者から

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「おい、声でけえよ、バレるだろ」 「ごめんごめん、」 おしゃれなカフェのフェンスの下からコソコソと何かが動いた。ささやき声と共にパシャッという物音も聞こえてきた。 「ほら、流星。あの人。意外と可愛いよな」 「俺のタイプじゃないよ、あのクソ女」 「おい、バカ。この葛城晴人様はタイプなんだ、盗撮するくらいな」 「なに?葛城はその写真部屋に飾ってたりすんの?」 「なわけねえだろ。」 暖かく美味しいコーヒーを片手に分厚い本を読む。 しかし、そこに邪魔が入る。左耳からはコソコソと小さな声が聞こえてくる。 "盗撮するくらいな" その言葉に私は引っかかった。私以外を撮っているならまだいい。けど、警察に追われてる身にしたらこれは緊急事態。もしそこに私が映っていたり、少しでも私の情報が分かってしまえばどこに隠れていてどんな人に化けているかがバレてしまう。今どきの警察は異常なほど優れてる。こんな変装すぐに見破る。それとあともう1つ気になることが。 「この声どこかで聞いたことある」 耳を潜める。 "おい、葛城、手が止まったぞ" "あ?なんの" 葛城?なんで葛城。 私はこいつをなめすぎていた。昔、ターゲットにした人より敏感で勘が強い。人生一の大失態だ。ここのカフェを出なければならない。コーヒーはまだ残っているけど警察に捕まる方がごめんだね。 急いで本をしまい、小銭を机に置いてフェンスの隙間から逃げるように出ていった。
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