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カシャ。カシャッ。レンズを通して彼を見る。
左下のライブラリには彼の笑顔でたくさん埋まっていった。運動場での彼。食堂での彼。帰り道での彼。全てが愛おしかった。全てが憧れだった。
携帯を握りしめてコンビニへと入る。そして大きな印刷の機械をいじり家へと帰る。クローゼットを開け服をかき分け奥の壁を見えるように服を隅に固める。
クローゼットの奥の壁にコンビニで現像してきた写真をペタペタと貼っていく。
部屋の中に彼の笑顔が沢山あるなんて夢のようで、楽しかった。ここなら友達が来た時でもすぐ隠せる。私だけの秘密の隠し部屋な感じだ
しかし、葛城晴人を好きになってから私の家の壁は写真だらけになっていった。優越感に浸れたがもう友達も呼べる所ではないくらいになっていった。まるで、ドラマで見るストーカーの家のように。
写真だけでは葛城晴人が足りず朝早くから門で待つことにした。朝の少し蒸し暑い中、彼を待つ。それまでに門を通る人たちは私をジロジロみながら学校へと入っていった。
すると、その時彼が右の道から自転車でやってきたのが見えた。彼を見つめ自転車で横切り学校へと入っていく彼を瞬きもせず見つめ続けた。朝からのひと仕事が終わり教室に戻る。
みんなからはなんで門の前でたっていたのか、彼氏でもできた?など、結構騒ぎになっていた。
こう見えて私はモテたり人気だったりするからね。だけど、その人気とモテ度は私の元を離れていった。噂が事実に変わって言った時には。
「やっぱ、あいつ付け回してんじゃん」
「ほら、見てよ、あれ気持ち悪い」
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