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青緑の電話マークを推す。おしてスピーカーにし部屋中にコール音が響く。彼との電話のコール音だ。これだけでも録音したい。するとコール音が急に止まった。画面を見ると1秒、2秒、3秒。思わず叫びそうになった。でも声が上手く出ない。
「もしもし?誰?」
彼の声が部屋に響く。すっごい嬉しい。
でも、喋れない。
「マジで誰?切るよ」
プチッと音が聞こえなくなった。彼に切られたんだ。次は喋ろう。
コール音を鳴らす。
「まじ誰?」
さっきよりおこり声で喋ってきた。
私は怖くなって急いで電話を切った。あんな怖い口調で言われたら話したくても話せない。ほんとうに申し訳ない。私の声を彼に届けたかった、彼の声が聞きたかった。
でも、電話をしたら何も出来なかった。よく考えろ、私。どうすれば彼が私のものになるのか、どうすれば彼を独占し続けられるか
カチャカチャとパソコンのキーボードを打つ音が鳴り続く。
「好きな人 独占」
彼氏にする、奴隷にする、魔術をかける
こんなの私にできるわけない。彼氏にできるほど十分な女じゃないし、奴隷なんて私は女王じゃないし、魔術は…魔術か。
いい方法、思いついた。
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