温もり

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 その日の放課後、僕はピアノ教室に向かった。 ゆかちゃんとはクラスは違うけど、同じピアノ教室に通っている。 僕のレッスンの後で、ゆかちゃんのレッスンだ。 僕を見て、 「ねぇ、なんでマフラーしてくれないの?」 ちょっとムスッとして言うゆかちゃん。 ゆかちゃんのちゃんと気持ちを伝えられるところとか、僕は好きだ。 「えっとね、あげたんだ。」 「あげたって、誰にあげたの?」 「それはね~」 僕はゆかちゃんを驚かせたくて、内緒にした。 「僕の家に会いに来てよ。」 「どういうこと?」 そう言った後で、ピアノの先生に呼ばれて、 ゆかちゃんはムスッとしたまま、レッスン室に入っていった。 僕はゆかちゃんのレッスンの間、ゆかちゃんの演奏を聴いていた。 ゆかちゃんの音、いつもは柔らかくて好きなんだけど、今日のゆかちゃんの音は、なんだか荒々しい。 そうしてレッスンが終わるのを待ってから、ゆかちゃんと一緒に僕の家に向かった。
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