古い家屋

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古い家屋

 深夜2時、目を覚ました娘は、今しがた見ていた夢の内容に涙を流し、自らの身体を抱き締めた。  それからは眠れず、一睡も出来ぬまま登校時間になり、重い身体を引き摺って学校へ向かった。 「おはよう!あれ、元気ないね?」 「おはよう…。変な夢見て、2時に起きてから寝てなくて…」 「あ~、たまにあるよね…。どんな夢だったの?」 「…思い出したくない」 「あはは…。よっぽど嫌な夢だったんだね。今日は確か一時間目は自習だったから、少し寝たら?」 「そうする…」  友人の言葉に頷き、娘はそのまま机に臥せった。  娘が見た夢。 それは、友人にも言えるようなものではなかった。  壁や天井は剥がれ、虫が歩き回り、カーテンはその意味を成していない見知らぬ部屋。  その部屋のベッドの上で、何も身に着けていない自分とそんな自分を抱き締め横たわる身なりの良くない男。  男に見覚えは無く、何故そのような状況なのかも分からなかったが、一つ分かったのは、男に全てを汚されたということだった。  感覚はリアルで、どこをどのようにされたのかも全て分かっていて、起きた後もその感覚は残っていたのだ。 キーンコーンカーンコーン 「おーい、次は移動教室だから起きて」 「ん…」 「よく眠れた?」 「うん…」 「良かったね」  楽しそうに笑う友人の姿に、段々と夢の内容が薄れ始めた娘は、その後の授業も普通に受けられ、放課後には普段通りに戻っていた。 「あ~、学校終わったね。今日はどこか遊びに行こっか?」 「う~ん…、ごめんね。今日はいいや」 「そっか…。じゃあ、また明日ね!!」  何となくこの日は早めに家へ帰りたくなった娘の気持ちを察してか、友人はあっさりと別れを告げた。  その事に感謝しながら、娘は一人で帰路につく。  あと少しで自宅に着くという時、今までは気にならなかった一軒の古びた空き家が目に留まった。 (あれ?あの家、誰か引っ越して来たのかな…)  娘が幼い頃から近所にあった空き家に、何故か人の気配を感じたのだ。  それでも気にしないようにして家の前を通り過ぎようとした瞬間、娘は何者かに腕を掴まれ、口を塞がれ、その空き家へと引き摺り込まれてしまった。 ギシッギシッ 「ん~…、んん~」 ギシィッ 「…ようやく、この日が来た…」 グイッ 「んぅっ?!」  家の中へと連れ込まれるなり、口は布で塞がれ、手足は縛り上げられ、どこか湿っぽいベッドの上に横たえられた娘。  何度も藻掻いてみてもベッドが軋むだけで手足は自由にならず、そうしている内に男が娘に跨がった。  よく見ると男は、娘が今朝がた夢で見た人物だった。  夢の内容を思い出し、恐怖の瞳で男を見つめる娘。 そんな娘を見下ろしながら男は小さく呟くと、口元の布をずらして口付けた。 チュッ 「んぅ!?…やっ…」 「…ふっ」 ペロッ  男は抵抗する娘には一切構わず、一度唇を離すと、微笑みながら舌先で娘の唇を舐めた。  それからゆっくりと娘の首筋へと顔を埋めると、そっと舌を這わせ、舐め上げながら歯をたてた男。  気持ち悪さを感じ、娘は更に抵抗を強めた。 「や、だ…、離れ、て…」 「…無理だよ。私は、この日をずっと待ち詫びていたんだからな」  言いながら、男は娘の制服の中に手を差し込み、下着の中へと侵入させた。  娘はじかに胸を触られ身じろいだが、男の手は確実に突起すらも摘まみ上げた。 「そうだ。この感触…、この固さ…、本物だ」 ギュッ 「痛っ!いやぁ…」  目に涙を浮かべ、必死に抵抗する娘だったが、嬉々とした男には通じず、更に下半身にまで手は伸びていた。 スリッ 「ここも、あの時のままか?」 クニッ 「やあぁっっ!!」  始めは下着の上から撫で上げ、そのあとすぐに隙間から指を差し込み、指先でナカを確認する男。  見知らぬ男に身体を弄り回され、娘は泣き叫びながらも頭の片隅では、これも夢だと思おうとしていた。 しかし、娘とは正反対に男は、本物であることを確かめるように五感を使い、娘の身体を隅から隅まで確認していった。 「今度こそ、私の手の中だ…」 「ど、して…、こんな…」 「君は、夢を見なかったのかい?」 ベロッ 「ゆ、め…?あっ」 「そう。私と愛し合う夢だ」 「い、や…、愛してなんか…んん!」 チュウ 「この家は、私と君の愛の巣だ。…まあ、幼かった君は覚えていないだろうがね」  言いながら、男は娘の肌が露出している部分を舐めたり、吸い付いたりしていた。  記憶を手繰る娘。  その時、男は懐からある写真を取り出して、娘の目の前にチラつかせた。  写真に写っていたのは…。 「…え、これ、…私?」 「そう。これは君が小学生に上がる前の写真だよ。この時、私は君と約束したんだ‘私のモノになる’とね」 「嘘…!あ、あの時…」 「思い出したかい?さ、この家は今日から、私と君の新居だよ」  この日以来、今まで空き家だった古い家屋の中からは、男の嬉しそうな笑い声と、女の悲しげな泣き声が聞こえるようになったのだった。 終わり
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