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しかし、嵐は構うことなく部屋の中へと足を進め、戸を閉めるとまっすぐに実花の目の前まできて、何とも言えない表情で見下ろした。
少し怯みながらも嵐を睨み付けていた実花だったが、あっさりとベッドの上へと倒され、その体勢のまま嵐にのし掛かられてしまった。
不敵な笑みを浮かべながら理由を話し始めた嵐に、それでも訳がわからないと言った風な実花。
わからないながらも嵐が勝手なことを言っていると感じ、更に食って掛かった実花に嵐は顔を近付け唇を奪った。
すぐに離れた嵐だったが、驚いている実花を見下ろしながら聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟くと、今度は実花の足元へと腕を伸ばしてきた。
とっさに嵐の腕を掴んだ実花は、少し怯えた瞳でジッと嵐の目を見つめながら、何をする気なのかと訊ねた。
ガシッ
「なに…、する気?」
「…何って、実花が他の男のものにならないように、俺がその身体に教え込んでやろうと思ってな」
スッ
「教え込むって…えっ、やだっ!!」
「お前を誰にも渡さないからな…」
腕を掴まれてることを気にすることも無く、嵐は実花の下半身へ手を伸ばすと短パンの裾から手を滑り込ませた。
それから肌触りを確かめるように手のひら全体で撫でたり、肉付きを確かめるように揉んだりしながら、上へ上へと這わせていった。
くすぐったさや背中に鳥肌が立ち始めたこともあり、実花は必死で嵐の腕を両手で阻んだ。
しかし、そちらに気を取られている内に嵐のもう片方の手が実花のTシャツの裾から入り込み、脇腹を撫で始めたのだ。
「お兄、ちゃん…、止め…やっ!?」
「実花、邪魔するな…」
「や、だ…。止め、て…」
「お前の身体に俺を刻みつけるまで、止めない…」
言いながら、嵐は一旦手を引き抜くと、実花の服に手を掛けて脱がしにかかった。
突然のことに驚きながらも、実花は必死に自らの服を掴み、脱がされないように抵抗し続けた。
しばらくの間そうしていた二人だったが、不意に実花の腕の力が抜けて、そのことに気付いた嵐はここぞとばかりに服を脱がしていった。
露になった自分の肌が目に映り、恥ずかしさのあまり目を瞑った実花だったが、同時に階下から母親の呼ぶ声が聞こえてきた。
その声に先に反応を示したのは嵐で、実花がほっとしていると嵐は小さく舌打ちして服から手を離し、「下に行くぞ」と言って部屋を後にしたのだ。
呆けながらも実花は自分の姿を思い出し、慌てて衣服を直すと嵐の後を追うように部屋を後にした。
階段を降り、居間へ向かうと父親も母親も嵐も食卓テーブルに着いていて、実花の姿を見た母親は笑顔で「ご飯よ」と言って席に着くよう促す。
その言葉に一回だけ頷くと、実花は嵐の様子をを伺いながら自らの席に着いた。
「それじゃあ、いただきましょうか」
「「「いただきます」」」
「嵐、いっぱい食べてね!!」
「そう言えば嵐、お前家へ帰って来るって本当か?」
「…え…」
「ああ。そうしよっかなって」
「…お兄ちゃん、戻ってくるの…?どうして…?」
「どうしてって、実家なんだから別にいいだろ?家からでもそんなに遠くないしな」
「………」
嵐の言葉に喜ぶ両親とは対照的に、実花は眉間に皺を寄せて心の底から嫌そうな表情を浮かべた。
そんな実花に気付いた嵐は、苦笑しながら口を開いた。
「ふっ、実花は俺が帰って来るの嫌なんだな」
「実花、どうしてそんな嫌そうな顔するの?」
「嵐が帰って来てくれるんだぞ?」
「私は別に…」
「毎日学校へ送ってってやるぞ?」
「いらない…」
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