第10話

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その日の物販は、 積み上がっていたCDの山がどんどん崩れるように売れていった。 そして、ファンの人たちが 「ありがとう。本当にメアリも喜んでいると思います。」 「The Saucyの曲をもっと沢山の人達にも聴いてもらいたいから、応援します!頑張って!」 「BEATLESの曲をやるなんて、正直ビックリしたよ。若いのによく知っているね!思わず懐かしくなった、ライブハウス通ってて良かったよ」 たくさんの言葉をくれた。 チェキ会こそないが、ファンの人達が、こんなに話しかけてくれた事に、強い手応えを感じた。 こんなことは初めてだったので、本当に嬉しかった。 その日は、3人で久々に場末の中華屋で打ち上げをした。 海斗は 「美咲の提案を、頭ごなしに否定して悪かった」 と謝ったが 「結果オーライなら良いじゃん!」 と、私はしばらく続いていたバンド内の淀んだ空気を吹き飛ばした。 桃子が 「それより美咲さん、モンロー姉さんとケンカして落ち込んでるんですよ」 とばらして 「ちょっと、桃子やめてよ!恥ずかしいなぁ」 私はバツ悪そうに言った。 海斗は、桃子から詳細を聞いて 「あー、なるほどね。それは、確かに行きづらくなっちゃったね。でも、美咲の提案ってモンロー姉さんの影響が確実にあるじゃない。今日のステージが成功したのも、姉さんのおかげでもあるから、今度3人でお礼に行こうよ!それなら、美咲もきっと仲直り出来るよ。てか、モンロー姉さんは、根に持たないから、きっと怒ってないよ」 と、カラッと笑いながら言った。
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