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今日は、ライブハウスでイベントに出演する日。
駅に向かっている途中に「bar蜜蜂」の前を通り過ぎようとした。
いつも昼間は灯りがついていないのに、仕込みでもしているのか、灯りがついていた
。「準備中」の札は下がっていた。
鍵が空いていたので、そっとドアを開けるとモンロー姉さんが、電話で誰かと話しているようだった。
「・・・誕生日おめでとう。お子さんいくつになったの?3歳かぁ。ほんっとに大変だけど可愛い時期ね。素敵な旦那さまと出会えて本当に良かったね。いつまでも、私はあなたのファンで居るから。遠く離れていても私たちの心は繋がっているから。・・・うん、え!また新しいお子さん出来たの!?それはおめでとう、、、!」
見た事のない笑顔だった。
正直、人違いかと思うくらいのギャップだった。
ギャップ萌え。
その笑顔いつも使えば良いのに、モンロー姉さん。
その夜、イベントを終えて、店に寄った。
前回モンロー姉さんに、失礼な事を言い放ってしまい、私は彼女の目をまっすぐ見れず、下を向いたまま
「コーヒーください」
と小さい声で注文した。
「あら、ソフトドリンク。明日は雪かね」
「モンロー姉さんこそ、なんかニヤニヤしてるけど、、、男でも出来たの?」
わざとふっかけた。
「ん?まぁこんなに世の中男がゴロゴロ居るってのに、あたしに釣り合う男はどこに埋もれてんのかね。あんた探してきておくれよ」
「・・・・・・あの、なんかこないだは、飲み過ぎたみたいで。言い過ぎました。ごめんなさい。
で、あのぅ・・・モンローさんってすごい人だったの?
なんか、みんな興奮しながら、変な事をいろいろ言うんですよね。学校に行くために歌辞めた人とか、メンバーにいじめられて辞めた人とか、ちんぷんかんぷんな事言ってるからどれが本当か分からないんだけど。」
「はい。学業優先のために辞めましたぁー!その優秀な頭脳で、10坪のBARを経営してひっそり暮らしてまーす」
「・・・は?あのー、ふざけてます?」
「こう見えて、あたし小心者だから、いじめられて、こわくって逃げ出しちゃったの」
「え!それってやっぱり本当なの!?」
「・・・フフフ。世間さまは、そう思ってるから。それで良いのよ。」
「もうー、どっちなのよー。」
「こないだは、変な話しちまったね。ちょっと、悪かった。1つだけ言えることは・・・」
女は、遠い目をして低い声でこう言った。
「私は尊敬できる師匠と仲間、女のリーダーに恵まれた。」
「もしかして、昼間に電話で楽しそうに話してた相手が、そのリーダーの!?」
「そう!いじわるオバサン!」
「は?」
ふたりして笑ってしまった。
「ていうか、いじわるって姉さんじゃん、それ」
いたずらに舌を出すモンローだった。
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