第11話

2/2
前へ
/61ページ
次へ
すると、メンバーの1人が重い口を開いて、亡き彼女について、語りだした。 「メアリは、とても真面目な子でした。それは、自分自身に対して。メンバーには時に厳しい時もあったけど、すごく優しかった。きっと、家族同然に思っていたんだと思います。だから、私たちは必死に彼女に憧れ、追いつこうと走りました。」 メアリは、天涯孤独で風俗店で働いていた時代があったらしい。それでも歌が好きで、お金を貯めて、必死に歌のレッスンや、ダンスのレッスンに通って、今の事務所のオーディションに受かり、ステージに立てる事の幸せを掴んだ。 それは、身近で見ていた私でも感じていた。この子は、技術だけじゃない。魂で歌っている、と。 メンバーは、こう続けた 「愛情が深くて……深すぎて。このグループでもっともっと、有名になりたいって。いつの頃からか、レコード会社の偉い人達に営業もしに行って、慣れないお酒を飲んで、クタクタになっているのを、少しずつ私達も気付いていたんです、、、それからすぐに、メアリは極度に食べることをしなくなりました。帰宅後に食べていたかもしれないけど、明らかに頬が痩けて、指には不自然なたこがめだつようになりました。ある日、不審なプレゼントが送られてくるようになりました。主に、求婚を迫るような内容でした。」
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加