どうか、来世も。

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――――――  「はい、つきました~!大田原市歴史民俗資料館です!タッタラー!」 「……資料館が遺産なの?というか近いな。」 「いえいえ、そうではないのですよ、佑介君!ここにある『資料』が遺産なのです!」 彼女が始めに連れてきたのは大田原市歴史民俗資料館という場所だった。かくいう僕も大田原市民だが、こんな場所には来たことがないどころか、あることも知らなかった。彼女が言うには、この資料館は農民具を中心に展示されてあり、時期ごとにいろんな展示もしてあるらしい。 「個人的には東野鉄道の資料がお気に入りだな!」 「へぇ~」 資料館なんてそもそもあまり来ない。というか小学校の社会科見学以来だろう。一通り見終わって気づいた。ここまでじっくりこういう場所を見たのは人生初だった。元々、こういうのには、あんまり興味はないはずなのだが… 「ふふっ、松方さんが説明すると結構楽しいよ。」 「おおっ!それは良かった!では、もう1つ教えてあげましょう…!」 目を輝かせて喜ぶ彼女にいつのまにかこころを心を許していた僕はおとなしく彼女についていく。 「あ、佑介君、」 「ん?」 「そろそろ、るかって呼んでよ!」 「いやいや、会ったの今日なんだけど、」 自分で言っていて改めて不思議に思った。そう、彼女とは初対面なのに。なんで、こんなに、 「いいじゃん!前世で会ってるんだもん!だから、こんな楽しいんだし!」 「……ホントに心読んでないよね?」 ニヤリと笑ったるかは先に出口に向かって歩きだす。 「マジかよ…」 前世なんて信じてないのに、本当にこれはなんなんだ。ため息をつきながら僕も歩きだす。
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