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僕の腕に蔦が絡まる。
5月の雨の日、僕の右手には
薄く薄く線が浮かび上がってきた。
徐々に濃くなる緑の蔦は、僕の腕に絡まっていく。
痛みもなく、緑の蔦が僕の腕を這っていった。このまま肩まで伸びるのだろうかと、蔦を見つめていると
肩の随分手前の二の腕のあたりで、蔦は切れた。
そして蔦は、僕の肌に溶け込むように僕の皮膚の下へ下へと潜っていく。
生まれたときから背中にあるアザにはない鮮やかさがある。
浮いてしまわないように、蔦が気にしているかのように、蔦は僕の奥へ奥へと入り込んでいく。
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