マフラーは、人類最大の叡智の結晶

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マフラーは、人類最大の叡智の結晶

「マフラー、あたたかいねー」 「そ、そうね」 「そう、だな……」  とことことこ 「な、なあ、本当にそこまで暖かいのか?」 「暖かいよー。マフラーは、人類最大の叡智の結晶だよー」 「そこまで……」  もふもふもふ 「俺、マフラーでこんなに可愛く喜んでる娘、初めて見た」 「なんかちょっとむかつくけど、今回は同意だわ」 「んふふふー」  ぬくぬくぬく 「でもそれ、家に近づいたら要らなくなるだろ?」 「むしろ邪魔よね。学校から駅までの距離を我慢した方がいいと思うんだけど」 「わかってないなー。だからこそ、今ここでつけてるんだよー」  ほこほこ 「あ、もう駅に着いちゃった。じゃあ、ふたりとも、また明日」 「うん、またね」 「じゃあなー」  ピッ  ブンッ――――――  ふっ 「なあ、あの娘の家って、常夏の島にあるんだよな?」 「そうね。『転移門』の定期料金が安くなったからって、中学の時に一家で引っ越したそうだけど」 「俺んち、親父の仕事の都合で南極大陸なんだよな。うらやましいぜ」 「私なんて、教育施設が不十分だからって、月面都市から通ってるのよ? はー、空間転移技術の普及も良し悪しよねえ……」
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