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深夜1時、真夜中の台所を甘い匂いが漂う。
そこには手のひらにちょこんと乗るくらいのシュー皮が並んでいる。クッキー生地ではなくふんわりとした可憐なシルエットだ。
そしてたっぷりとした絞り袋の中には、馥郁たる香りを放つバニラビーンズを散らしたカスタードクリーム。
このシュー皮とカスタードクリームは、今宵一つになろうとしていた。
「カスタード『俺を、受け入れてくれるか?』
シュー皮『うん・・・』
カスタード『いい子だ。さあこっちへおいで』
シュー皮『でも、そんなの入れたら壊れちゃう』」
カスタードクリームの絞り口は凶器のように光る。
「カスタード『大丈夫、優しくするよ』」
シュー皮が戸惑ううちに空から降ってきた手によって持ち上げられ、尻を向ければこんがりとした底面が現れる。カスタードはつぷりとそこに絞り口を挿入した。
「カスタード『ゆっくり入れるからね?』」
カスタードの入った絞り袋を握る手に力が込められる。シュー皮の中をカスタードクリームが満たしていく。手のひらの熱に温められ、溶け出したクリームが挿入口から一筋伝った。
シュー皮『もうだめぇっ、溢れちゃうよぉ』
カスタード『くっ、もう少しで全部』」
「は?姉ちゃん全部一人で食う気かよ」
「はいいいいいいいいいぃぃぃ!?!?」
ば れ た。
スイーツチェーン店で「シュークリーム手作りセット」を買ってきたのも1人でBLアテレコしてたのもばれちゃいましたよ、ええ。
「え、いつから見てた?」
「シュー皮持ってなんかブツブツ言ってたとこから」
「ほぼ全部やん!」
ウワアアァァァァァこれ恥ずかしいやつううぅぅぅ!!!
顔めっちゃ熱いんですけど!!冷や汗ヤバいんですけど!!これ死んだわ。社会的に死んだわ。
あれだね、貪り食べて忘れるしかないね!
「あ、食べる?」
先程丁寧に丁寧にクリームを詰めたシュークリームを弟にあげた。
「いや・・・なんか・・・いいや」
ですよね!!
おしまい。
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