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「あの一年生、男の子なんだって」
「嘘、レベル高くない?後で行ってみる?」
宣伝が終わると共に沸き上がる声と、好奇の眼差しを受け綾斗はたじろいでしまう。
「錦織君早くクラスに戻ろうよ」
周囲の視線に居たたまれなくなった綾斗は、恥ずかしそうに上目使いで錦織のチャイナドレスの腕の裾をチョイチョイと引っ張る。
(ヤバイ!俺このままだと新しい世界の扉開いちゃいそうなんだけど!?)
錦織がそう汗ばんだ時だった。
「おい、お前錦織か?」
背後からかかった聞き覚えのある声に、錦織は振り向く。
「え?ああ、そうです。自分です。先輩、お疲れ様です」
錦織に先輩と呼ばれた体格の良いふたり組の男子生徒は、ホケっとした表情をしている。
「錦織お前なんて格好してんだよ」
「この格好ですか?これですよコレ」
説明換わりにと錦織は手にしたプラカードを先輩2人に見せた。
「んー?メイド喫茶?女装の男子も接客?」
プラカードの文字を読み上げるとその生徒は綾斗を凝視した。
「じゃお前の隣のこの子も男かよ!?」
「ハイ。そーですよ。同じクラスの綾斗君です。綾斗君、こちら俺と同じ風紀委員会の先輩だよ」
「えっ!?あ…綾斗です」
まさか女装してる時に自己紹介を促されると思って無かった綾斗は、内心錦織を恨む。
(こんな格好の時に知らない人に挨拶したくないんだけど!てか錦織君!空気読んで!!)
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