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ザバッと上半身を起こした綾斗はゲホゲホと咳き込む。
「~~~ッ!!アナタねえ」
顔から水中に突っ込んだ綾斗は、濡れた前髪を掻き上げる。
その顎を杉の指が捉えた。
同時に眼鏡を外される。
「お前こーやって見ると女装なんてしなくても充分俺好みのカオしてやがる」
「は!?」
綾斗は目を丸くするも、直ぐ意識が杉の手にする自分の眼鏡に向かった。
綾斗は彼の手から眼鏡を奪い返す。
「ああーーー!!フレーム壊れた!!しかもレンズまでキズついちゃってる!」
天に召された眼鏡に騒ぐ綾斗を杉が抱き込んだ。
「こっち見ろ」
「アナタまだふざけてるんですか!?嫌がらせも大概にして下さい!!」
身を捩って憤慨する綾斗の耳元に杉は口を近付けると囁く。
「お前、マジで俺が嫌がらせしてるって思ってんのか?…もし俺が本気で惚れたっつったらどうする?」
「なっ!?あ、ありえない話しないで下さい!!いいから離れろコノヤロー!」
腕の中で暴れる後輩に杉は溜息を吐いた。
「ったく、抵抗すんならベットの上だけにしやがれ」
「イタイ!!イタイよう!!おかーさーん!!此処にイタイ人がいるー!!」
「煩ェ。またキスされてーか」
途端に、ピタリ。と抵抗がやんだ。
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