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相手にしてみれば、今までと変わらない付き合いをしていたのに、ある日から、急に不機嫌になり数日後、長くて数週間後には別れを切り出されるのだから、理不尽極まりないのだが、理恵にはちゃんと理恵なりの理由がある。
それでも、相手に非があるわけでは無い事を理恵も理解しているので、やはり、心苦しい気持ちにはなる。
理恵が祐介から電話を受けたのは7月の2週目だった。先週も祐介とは会っている。Lineで事前に都合を確認した上で、電話が掛かってきた。
「少し話しがあるのだけれど、今週どこかで食事できるかな」
「何のお話ですか?」
「それは会った時に話すよ」
それだけで、内容が別れ話だと判った。
初めて振られることになるな、と思った。
でも、悔しいという気持ちも無く、なんと気が楽なのだろうと思ってしまった。
どうせ、不倫の関係で長く付き合いができるとは思っていなかった。
祐介が指定したレストランは品川プリンスホテルの『DINING & BAR TABLE 9 TOKYO』だった。
祐介との最後(だろうと思ていた)の食事には、思い切りオシャレをした。
理恵を見た祐介は、「美しい!」と感嘆した。
だからと言って、話しの内容が変わることは無かった。
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