73人が本棚に入れています
本棚に追加
奥さんにバレたようだと言われたら、何も言いようが無い。
「奥さんと別れて」などと言うほど、自分を貶めたくは無かった。もともと遊びのつもりだったのだから。
ただ、最近、注意が散漫になっていた祐介に少し腹が立った。気をつけていれば、もう少し続いただろうに。
食事後、祐介は理恵をタクシーに乗せ、チケットを渡した。
「理恵、ありがとう」
「楽しかったわ、祐介さん」
そう言葉を交わしてから、タクシーは走り出した。
雨が降ってきたので、タクシーで帰れるのは助かった。窓から流れる街の灯を見ながら、祐介との10ヶ月ほどの付き合いを少し思い出した。
『楽しかったな。もう少し、楽しめたら良かったのに、少し残念・・・』
自分のような活発に動き回る性格には、祐介のように落ち着いた言動で、経験から得た教養の高い男性が合うのだろう。
同世代の男性は、どうもイライラしてしまう。
イライラした同世代の男性・・・、義男だ。
「義男か・・・・。なんか物足りなかったけど、でも、我が儘な私に一所懸命尽くしてくれたなぁ」
最初のコメントを投稿しよう!