東京セレナーデ

第11話 サマープール

７月最後の木曜日、義男は会社で昼食にも行かず、ネットを検索しまくり、港区にあるホテルのプール入場券付き宿泊プランを予約していた。
もちろん、明日香と行こうと思っていたのだ。

明日香は、今までどの様な付き合いをしていたのだろう。義男が提案するデートプランを明日香はいつも、少し大げさなぐらい驚き、喜んでくれる。
別に、常に特別なデートをプランしているわけでは無い。自分が美味しいと思う普通の焼き鳥屋でも「すごーい、楽しみ」と言って、喜んで付いてきてくれ、そして楽しんでくれた。

それが嬉しくて、色々とデートプランを考えてしまう。

今回は、８月のお盆前に、都内のホテルのプールに行こうと思っていた。

実は、昨年、理恵と赤坂にある結構高級なホテルのナイトプールに行った。『数時間いるだけのプールにひとり15,000円も払うのかよ』と思ったが、押し切られた。

「夏だから泳ぎに行きたい」と言われて、千葉や伊豆の海水浴場を提案したが、気に入られなかった。
夏に沖縄なんてクソ高いのに、と思いながら提案したら、それも乗り気で無かった。

よくよく聞いたら、日焼けが嫌だという。