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「いえ、楽しかったわ。涼しくなったらもう一度行きましょう。その時は(近くの)芭蕉記念館にも行ってみたいわ」
義男は、明日香のこのような気遣いが嬉しかった。理恵なら何故こんなに暑い時に清澄庭園へ連れてくるのだ、と文句を言っている。いや、そもそも清澄庭園のプランを却下している。
そして、満を持して、プールプランを伝えた。
ホテルで過ごすプールプランを伝えた時は『すご~い。急いで水着を買わなきゃ』と喜んでいたのだが、日付を聞いて表情が暗くなった。
「ごめんなさい。その日、実家でお盆の法要なの」
お盆前なので、帰省は予想していなかった。
「家は外檀家だから、お盆の時はなかなかお寺さんも忙しくて来られなくて・・・」
そう言えば、そんな話しを前に聞いていた気がした。
こんな時に「え~?」とか「そんなぁ」とか、ましてや「何とかならないの」などと言うのが御法度だと言う事ぐらいは理解している。
「プールはいつだって行ける。久しぶりの帰省だろう。しっかりお参りしてお母さんとゆっくり過ごしてきてね」
「ありがとう。義男さんは優しいのね。お盆には戻ってくるので、また時間取って下さいね」
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