第11話 サマープール

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「良い部屋ね」このホテルでは一番一般的なのだろうが、キングサイズのベッドが置かれた部屋は50㎡ちかくあり、差し込む陽光もあり、明るく広く見えた。 理恵は、明日香のために頑張っている義男を見ていて、明日香に少し嫉妬してしまっている自分に戸惑っていた。理恵と付き合っていた時には同じぐらい彼女に尽くしてくれていた事を忘れて。 恋人同士なら、二人きりになったのだから、軽く抱き合ったり、キスしたりするのだろう。(女)友達同士なら、バスルームやアメニティを見たりバルコニーからの眺めを確認して少しはしゃいでから、サッサと着替えプールに行くに違いない。 そのどちらでも無い義男と理恵は。一瞬、戸惑ってしまった。 「えっと、着替えるから、向こうを向いていてくれる?」 「えっ、ここで?」何故、バスルームを使わないのだろうと思いつつ言った。 「そうよ」バッグから水着を取り出しつつ、そう言った。 「分かった」義男は別に抗議することも無く、ベッドの方を向いた。 気配で、服を脱いでいる様子が判った。
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