第11話 サマープール

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昨日の出来事をそのまま封印できないのか。でも、目の前の理恵を見ていてそんな事は不可能だと悟った。『昨日は弾みで・・・。無かった事にしてくれ』なんてとても言えない。 「昨日、気持ちよかったね。あんなに感じたの初めてかも」理恵が言った。 「ああ・・・」それは義男も同感だった。明日香とのセックスではあの感触は得られないだろう。 でも・・・理恵は何をしたいのだろう。意を決して聞いてみた。 「あの・・理恵、どうしたいんだ」 「もう一度、付き合ってくれない?」 「・・・」 「答えを迷うの? あんなに激しく何度も抱いておいて!」 「・・・」 「なんて言わないわよ。大人なんだから。でも、身体の相性は悪くないと思うのよ。それに、以前は少しワガママが過ぎたと思っている。考えておいて。私はお付き合いしたい、という希望は伝えたわよ」 この場で答えが欲しいなどとは、(はな)から思っていない。明日香のことがあるので、『いいよ』などと言えないのは当たり前だ。それより『付き合えない』と冷静に答えられたら、元も子もない。まあ、義男の性格なら理恵を(おもんばか)って、そのような速答はできないだろうが。
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