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義男は、まだ理恵に断りの連絡をしていない。言い出し難いからだが、心のどこかに理恵に対する未練があったのかもしれない。
「それなら、良いけど・・・」明日香は、おかしいとは思ったが、それ以上何も言わなかった。そもそも誰かを問い詰められるような性格では無い。
池袋でラブホテルからルミネへ移動し、そのまま夕食を食べ、次の週末に会う約束をして、義男は明日香を家まで送った。
明日香はもうひとつ違和感を抱いていた。
義男からプールに行きたいという話が出てこなかったからだ。たまたま今回は帰省と重なり、ホテルのプールに行けなかったが、義男の性格なら、日程を変更して再度同じような提案をするはずだ。
休暇を続けて取っている人も多いが明日香はきっちりお盆休み明けに出社した。
お盆休み明けの会社の机には、帰省した人達のばらまき土産が並べられていく。
その土産物を見て「あら、〇〇さん、ご実家は□□?」などという会話があちらこちらで交わされる。正月明けにも交わされた会話だ。その時にも同じ返事をしていたはずだが、どうせ覚えて無いのだろう。
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