71人が本棚に入れています
本棚に追加
確かにいつも工夫してお土産を選んでいたが、休憩室には、理恵の言うバラ蒔きの土産を配った社員もいたので『そうでしょう』とも言うわけにいかず、少し慌てて『たまたま帰りの駅で見かけて・・・』などと言い繕った。
理恵は、まったく気にしていない。それが理恵の取り柄だ。
「安倍川もち、いただきますね」そう言って理恵は持ってきた安倍川もちと自販機のお茶を口にした。
「美味しい! お茶にも合う」理恵が嬉しそうに微笑んだので明日香も嬉しくなった。
「理恵ちゃんは、帰らなかったの?」
「まあ、私は(実家が)近いですし、いつでも帰れるので・・・、それよりもお盆の間に色々あって・・・」
「あら、どうしたの?」
「私、元彼とヨリも戻したいんです」
薄々、理恵が既婚の顧客と付き合っているのに気が付いていた明日香は、理恵のことを心配していたので、即座に賛成した。
「その方が良いんじゃなかな」
「やはり、気が付いていました? お客さんとのお付き合い」
「何となくね」
「別れたんです」
「うん、それが良いわ」
「で、よく考えたら元彼が優しくてよかったなぁ・・・って思ってしまって」
最初のコメントを投稿しよう!