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義男は少し戸惑っている様だった。自分の知っている明日香と同一人物か判断しかねていたのだろう。
「写真あるかい?」
「あるけどどうして?」そりゃあ確認したいだろう、と思いつつ、わざと訝った表情で、準備していた宴会の時に撮した明日香の写真を見せた。
そこに写っていたのは、紛れもなく明日香だった。
理恵は明日香の時と同じように義男を観察していた。義男は明日香よりも単純な反応だった。
大きく目を見開き、呆然としていた。
「俺を元彼だと言ったのか?」
「他の誰を元彼って言うのよ」
「抱かれたって言ったのか?」
「襲うようにして何度も抱いたのに、返事が無い、とグチった」
「いつ、話したんだ?」
「昨日だけど、何を気にしてるの?」
だから、今日、デート延期の連絡があったんだ、と義男は理解した。
「先輩は復縁できるといいね、って言ったのか」
「うん、応援してくれてる」
「・・・・」
かなりの沈黙が流れた。
「で、義男の話は?」
「ああ・・・いやまた今度。今日は帰ろう」義男は何とか取り繕うとしていた事が全て瓦解したことを悟り、ショックで話をする気力が無かった。
「返事は?」
「返事? 返事って何だっけ?」
「もう! 私と付き合って、という返事! 今日はその話じゃ無いの?」
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