第13話 9月の夕陽

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多くの男が惹かれる証拠に、思わず触ってしまい、捕まって人生を棒に振った男のなんと多い事か。 それほどの魅惑を前にして、もし女性に『触っても良いよ』と誘われたなら我慢できる男など、いるのだろうか。 『決していないに違いない』と義男は思った。まあ『だから、俺は悪くない』と思いたかっただけなのだが・・・・。 しかし、『据え膳食わぬは・・・』など、今回の不始末に対してなんの理由にもならないことも知っていた。 第一、理恵は『触っても良いよ』とは言っていないし、義男が理恵に襲われた訳でもない。 その時、一時的に理性を失っていたとしても、義男の意思で理恵の胸をわしづかみにし、理恵を抱いた(それも何度も)事に間違い無い。 悪い報告は早いほうが良い。原因や対策を考える前に、とにかく事象を早く伝えることが最善だ。 仕事上では、その事を十分理解しているのだが、プライベートでその教訓を役立てることは出来なかった。 義男は、まず何とか誤魔化せないかと考えたし、もし明日香に白状するにもそうなった原因と対策(言い訳とも言う)は必要だと思っていた。
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