71人が本棚に入れています
本棚に追加
会議室からは東京の街に沈む夕陽が綺麗に見えた。会議の内容を聞きながら、それに見入っていた。少し感傷に浸っているような感覚だった。心のどこかで覚悟をしていたのだろう、明日香にバレた時ほどの動揺は無かった。
唯々心が沈んだ。
・・・・・・・・・・
明日香の9月
「理恵ちゃん、ごめんね。義男さんは私と付き合っているの」
今まで、夢の中で二度、理恵に話しかけた。でも、現実は何も話せていない。それどころか、義男とも会っていない。
職場で、PCに向かってキーボードを勢いよくたたいている理恵を見て、明日香はため息をついた。
どこかで自分の行動が間違っていたのだろうか・・・。明日香は何度も色々思い出しながら考えてみた。
もし明日香が、義男との付き合いを早い段階、少なくとも理恵が顧客の男性と付き合っている時に伝えていれば、理恵は前向きに祝福したハズだ。理恵の事だ、『え~? ビックリ! 義男、元彼なんです。頼りないヤツですがよろしくお願いします』ぐらい言ったかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!