第13話 9月の夕陽

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ところが、仕事にはあまり影響が無かった。以前は気持ちの使い方を知らず、自分の気持ちのほとんどの部分を仕事に振り向けてしまっていた。義男と付き合い始めて、その割合がとても少なくなった。少なくなったら思い詰めることも少なくなり、それが仕事でも良い結果に結びついた。 今回の状況でも、仕事に向ける気持ちの割合を変えることは無かったので、ほぼ影響なかったのだ。 ただ、義男に向けていた気持ちに穴が空いてしまっていた。 やむにやまれず、帰省の時に会った、千葉の流山で結婚して暮らしている友達、美佐子に相談した。 家の近くへ行くと言ったのだが、9月4日(日)に東京駅近辺で会うことになった。「たまには、羽を伸ばさないと」と、美佐子が言ったのだ。明日香からみれば、結構、いつも羽を伸ばしているように思えていたのだが。 一通り話しを聞いた上で、美佐子が言った。 「明日香はどうしたいの?」 「正直、わからないの」 「じゃあ、私の意見を言うから、あとは自分で判断して。まず、男が浮気するなんて当たり前の事よ。そんなことにいちいち目くじら立ててたら、身が持たないわよ」
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