第13話 9月の夕陽

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「あれ? 言ってませんでしたっけ? 明日香先輩ほどの美人なら、いて当たり前かと思ってました」理恵から見ても綺麗になったと思えるのは今年になってからで、去年まではあまりパッとしなかったのだけれど、理恵は慌ててそう(=美人だと)誤魔化した。 「まあ、色々あるわ」それ以上の追求はせずに、明日香は応えた。 理恵は、その(こた)えからは、義男と明日香の関係がどうなっているのかは推測出来なかった。 優柔不断な、そして非のある義男から別れを切り出すわけが無い。それに、そもそも、義男が別れたがっているとは思えない。 すべては明日香の行動にかかっている。だからこそ、理恵は明日香の事を気に掛けていた。 理恵は義男を毎週誘っていた。 明日香に義男と理恵の関係がバレて2週間ほどは、さすがに義男も断ってきたが、今週は強く誘ったら、しぶしぶ食事に出てきた。 『その優柔不断さが命取りなんだけどね』そう思いながら、誘っているのだ。
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