第13話 9月の夕陽

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『まあ、これが義男の短所であり長所でもあるのだけれど、明日香先輩はそこまで理解してるのかな』理恵も以前は義男のこの性格にイライラしたが、今なら受け入れられる気がしている。そして、現に今はそれを利用している。 木曜日の夜に義男と食事をした。週末(金曜~日曜日)は、誘っても断られる。今まで明日香と会っていた週末は、会える期待を抱いて、いつ声が掛かっても良いように、空けているらしかった。 それが判った時、声が掛かるかどうか判らない週末をずっと空けて待っている義男が少し不憫に思えてきた。 そして、その日も食事だけで終わった。それとなく誘ったのだが、誤魔化された。 翌、9月9日(金)夕方、理恵は客先からの直帰の電車の中にいた。今日も、義男は明日香からの連絡(できればお許しの)を待っているに違いない。 その姿を想像し『私と付き合ったらいっぱい癒やしてあげるからね』そう心で呟き、思わず”にやり”としてしまった。 この時点で、明日香から義男に連絡があったことはまだ知らない。 電車が荒川を渡る橋に差し掛かった。車窓からは、川越しに夕陽が美しく見えた。 第13話 完
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