第14話 それぞれの恋

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第14話 それぞれの恋

「高橋さんだよね、研修の時に一緒だった」男性が明日香に声を掛けてきた。 10月に入り、埼玉地区の下期キックオフ会議が開催され、その後の立食パーティで同僚とテーブルを囲んでいた時の事だ。 振り向くと、上野だった。 支店が違うので滅多に会うことは無いが、研修の時などに時々顔を会わせていたので、見知っていた。2月の研修以来なので8ヵ月ぶりだ。 上野は明日香よりも2年早い入社だったが、身のこなしもスマートな上に営業成績も良く、明日香の所属する地区では一目置かれる存在だった。上司受けも良いが、女性社員の間でも人気があったので、テーブルが華やいだ。 何人かの女性社員が好意を持っているという話しも聞く。同じテーブルにいた恵子(三島恵子)もそのひとりだ。 「あら、上野さん、お久しぶり」 「高橋さんだよね」今度は少し冗談交じりで言った。 「ええ、そうですよ。どうしたんですか?」 「いや、なんというか、あまりにも変わった気がして」 「歳を取ったかしら」 「いや、そう言うんじゃ無くて、その・・・素敵になった」
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