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そんなわけで、いつも通りのぼっちな学校生活を終えたのだ。
今日は八汐先生と会話ができるという、うれしいハプニングがあった。
この浮かれた気持ちのままで、いつもの店でヒトカラをしてストレス発散したい。
だけど、先生がせっかく勧めてくれた『ミルク部』とやらにも一応、顔だけは出してみよう。
そう思って来てみたら、目の前の男子は私の顔を見てあからさまに動揺して(失礼だ)いる。
散々、おろおろしてから、男子はこほん、とわざとらしい咳払い。
それから背筋をピンと伸ばし、にこりと微笑んだ。
「はじめまして。2年1組の高原潮です」
「……私は1年1組の知立春香です。はじめまして」
つられて自己紹介をしてしまったけども、私はこの人と関わるつもりはない。
というか、『ミルク部』とかいう謎の部活に入部するつもりはないのだ。
「ここにいたってことは、入部……いや、見学かな? それとも吹奏楽部の人かな」
「いいえ、」
私はそこで言葉を切り、どう答えようかと悩んだ。
「ああ、じゃあ、見ていくだけ見ていって」
私があまりにも悩んでいるのがわかったのだろう。
高原先輩は穏やかにこう付け加える。
「帰りたくなったらいつもで帰っていいからさ」
そう言い終えると、先輩は音楽準備室の鍵を開け始める。
正直、余計に帰りにくくなった。
この様子だと、部員はとても少ないのだろう。
そうなると新入部員の獲得に必死なはずだ。
だけど、高原先輩からはそういうガツガツした雰囲気は感じない。
穏やかだけど、どこかあきらめているような、悲しそうな顔をしている。
ここで私が、「じゃあ、帰りまーす」と言っても先輩は引き止めたり責めたりはしないだろう。
でも、こんなふうに寂しそうだとむしろ立ち去りにくい。
そういう作戦か?
そうして立ち去りにくくして、入部までもっていこうとしているとか?
私が考えこんでいると、部屋のドアが開き、「どうぞ」と先輩が先に中に入れてくれた。
部屋に一歩足を踏み入れると、やけに埃っぽい。
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