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恭介さんと回転ドアの横にある普通のドアから、外に出る
外の明るさに目眩みを覚えて、冬に近づく冷たい風に寒気を感じた
脚の間がじんじんと痛み、ホテルから目と鼻の先にあるタクシー乗り場に到着するまでが、とても長い距離に思った
恭介さんが止めた一台のタクシーに、私が先に乗り込む
「っ!いっ……」
「どうしたの?」
再び裂けるような痛みを感じて顔を歪める私を、心配そうに恭介さんが覗き込む
“ここ”が痛いなんて、言えない
「大丈夫です。なんでもありません」
痛みを我慢しながら、痙攣らないように笑顔で言った
恭介さんは何も言わずに私の隣に乗り込んで、シートベルトを着用した
運転手に行き先を尋ねられると、先に私をアパートまで送ってから駅に行くと恭介さんに言われたので、私はアパートの住所を言った
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