211人が本棚に入れています
本棚に追加
__なんで誰も来ないの…?
リュウガとの通話を切り、生徒会寮のエレベーターに乗り込むと僕の1個下でエレベーターは止まった。
もう全員校舎内の生徒会室に居るはずなのに、どうして止まったんだろう?と不審に思いつつ、エレベーターで人が乗ってくるのを待つこと3分。
未だ誰も乗って来ないんですけど。
ハッ…
もしかして不審者??
だったらそーくんとりーくんが誘拐されないように僕がしっかり退治しないと。
ハッ…
それとももしかして妖怪のせい??
だったら副会長が怖がっちゃう前に僕が退治しないと。
ハッ…
それともそれとももしかして虫のせい???
だったらミハルくんが発狂してリュウガがキレる前に僕が退治しないと。
ハッ…
それともそれともそれとももしかして僕の大嫌いなブロッコリーのせい????
だったら僕が食べる派目になる前にリュウガに食べさせないと。
…なんて出てきたら嫌順(ブロッコリーが1番嫌)に想像していたけど、待つことに対して遂に痺れを切らした僕はエレベーターのドアからひょこっと顔を出し、誰もいないのを確認してから、下に降りようとした。
けど、ひょこっと顔を出した時視界に映ったのは、不審者でも妖怪でも虫でもブロッコリーでもなくて、
一瞬、息を呑む。
、、ぁ、、きれい、、。
「あ、おはよおハルちゃん」
太陽に照らされグリーンの目が息を呑むほど綺麗に光る。
__そこには、腕を広げて、おいでのポーズをしながら僕の行動を見てか、笑っているミハルくんがいた。
あれ?と思いつつも、せっかく広げてくれている腕が勿体なくて、ミハルくんに思いっきり抱きつく。
ていうか、僕の方が大きいからミハルくんを抱き締める。
「ミハルく…おは!ど、して?」
「んー?その"どうして"はなんで3分もエレベーター止めてたかってこと?」
いつもの事だけど少ない言葉で分かってくれるのはやっぱり嬉しくて、抱き締める力を少し強くしてから頷いた。
「そ!」
「鞄忘れちゃったんだあ〜」
さっき僕もリュウガへの言い訳として使ったけど、そんな人本当にいるんだ、とびっくりして目を丸くさせる。
するとミハルくんはくすくす笑った。
「ハルちゃんって言葉は少ないけど凄く分かりやすいよねえ〜」
そうかな?と、ミハルくんに首を傾げる。
「それに今日はなんだかあまい香りがするねえ?」
「ん、ハチミツ…」
「ハチミツ?」
「そーく…と…りーくん、くれた」
「へ〜、なんか正にハルちゃんって感じ!」
そう言うミハルくんに僕がヘへっと笑う。
そんなことを話しながら僕たちはふたり揃って生徒会室に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!