ぼくのあまい1日。

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 「えぇ?そんなことって…」  あ、ミハルくんも驚いているみたいだ。勿論、りーくんもそーくんも。  それもそのはず。 今までこんなこと無かった。  理事長の甥っ子って言うことだけでも絶対びっくりするのに、この学園に一般人が入ってくる、なんて初めてだ。  「新たな試みとして理事長の知り合いを入れてみて、上手く行けば来年から一般受験を始めるらしい」  「それ、って、じっ、けん…?」  「いや、ハルキの心配してる一般人をいれてみて失敗したらそれが結果だ、なんてことにはしないよう、風紀がバレない程度に警護に当たるようになっている」   ほっと息を着く。  この学園に無知で入るのは危険だ。問題は山の中にある男子校だということ。  しかも初等部の頃から親元を離れた寮生活。つまり、幼い頃から家のパーティなど以外で異性との関わりがない。  そう、お察しの通りこの学園には同性愛者が多い。というか異性との恋愛をしている方が珍しい。  それだけなら少し異様な学園、というだけで僕は別に問題があるとは思わない。  問題があるのはここから。……この学園では無理やりソウイウ行為をする。  風紀が注意深く取り締まっているし、僕も何度かソウイウ場面に遭遇して、止めに入ったこともある。  でもやっぱり例え未遂でも、やられた側の生徒は立ち直れないことが多い。  一方的に味わされる恐怖。そんなの、許されるはずがない。  やった側の生徒が退学になっても、やったことに対して後悔しても、やられた側の傷が癒えるわけじゃない。  ……そんな所に無知の一般人が入ったら? 考えるだけで、怖い。  「まァ一般人が転校してくることは今までになかった事で少し慌ただしくもなりそうだが、生徒会が抱えるべき問題はもう1人の転校生の方だ」  「「「へ?」」」  3人揃って本日2回目のぽかんとした顔。  "生徒会の抱えるべき問題"をどんなに地位が高くとも、学園内では逆らうことは許されない絶対的トップの理事長の甥っ子が、問題の原因だなんて、誰も思ってもみなかっただろう。  「編入試験を5教科500点中490点でパスしているんだ。クラス分けテストも3教科300点中290点。運動神経は天性のものだろうが、元いた高校の偏差値と比較するとこの点数でパス出来るのはちょっと引っかかるよな?」  ニヤリと笑うリュウガ。  こういう笑い方をするリュウガを前に見た事がある僕は溜息を着く。  「リュウ、ガ、めっ」  「バレなければセーフ、だろ?」  リュウガはもう1人の幼馴染のハッカーに色々教えて貰ってからこうして気になることがあると無断で調べあげることがある。  悪用していないからセーフとかバレなければセーフとか言うけど、リュウガが言うとなんか無性に警察に突き出したくなる。  「で、結果は?」  察しのいいミハルくんはすぐさま反応し、結果を聞く。りーくんとそーくんも2人で話を整理しながらリュウガの話について行こうと真剣だ。 __「まァ黒、だな」
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