#12

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呼吸が落ち着くまで背中を撫でていた宗一郎は、しばらくして泣き続けるしずくを抱き上げた。 ベッドに下ろされてジャケットを脱がされる。 しずくはされるがままで、宗一郎に身を任せていた。 「少し眠った方が良い」 「…でも」 宗一郎を見上げると、優しい瞳がしずくを見つめていた。 ──ずっと見たかった、宗一郎さんの瞳だ。 瞬きすると、一粒雫が落ちる。 彼は優しく目尻を拭い、しずくを抱きしめて一緒にベッドに入った。 しずくのベッドは小さくて、宗一郎と入るとかなり窮屈だった。 それでもしずくは離れたくなくて、宗一郎の胸元に顔を埋める。 「…シーツも汚れてしまいました」 「そうだな」 「…床も、綺麗にしないと」 「起きたら一緒に拭こう」 ぽつぽつと話すしずくの言葉に、宗一郎は優しく応えてくれる。 話しているうちに、昂っていた気持ちがだんだんと落ち着いてきた。 優しく髪を梳かれ、しずくは顔を上げた。 「…宗一郎さん、…おかえりなさい」 「…ただいま、しずく」 本当は宗一郎のマンションで、笑って伝えたかった言葉を告げる。 それを聞いて優しく微笑んだ宗一郎がしずくの額に口付けた。 「帰ったら、お土産を食べよう」 「はい…」 「おやすみ、しずく」 「おやすみなさい…」 温かい宗一郎の腕の中で、しずくはようやく安心して眠りについた。
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