#13

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交代で風呂に入りソファーに落ち着いたところで、宗一郎に大きな紙袋を渡された。 「…何ですか?」 「お土産だ」 「おみやげ…」 ぽかんとしていると苦笑した宗一郎に開けるよう促される。 慌ててお礼を言って、しずくは結構な重さの紙袋を開けて中を見た。 ──お菓子と… 中には如何にもお土産といった様子の菓子箱の他にもう一つ大きな箱があった。 しずくは箱を取り出し、目を瞬いた。 「これ…」 大きな箱の中身は色とりどりの色鉛筆だった。 そのどれもがあまり見ない色合いでとても綺麗だ。 中でも空を閉じ込めたような青や、星空のような深い色が沢山入っている。 描く前から空が見えるようでしずくの心が弾んだ。 「丁度立ち寄った店に輸入した画材が沢山置いてあったから、君に。…使えそうか?」 「…っ、はい!」 ──どんな色になるんだろう。 しずくは早く使ってみたくて、うずうずとしてしまう。 早速描いてみようと思っていたところで紙袋を取り上げられ、驚いて宗一郎を見上げた。 「あ…っ」 「これは十日後までお預けだ。今はこれを」 「…ひどいです…」 悪戯っぽく微笑んだ宗一郎が菓子箱を差し出し、しずくは少し拗ねながら受け取った。 ──嬉しい。 宗一郎が買ってきてくれた色鉛筆は、世界中のどんな宝石よりもしずくには嬉しかった。 「…宗一郎さん」 「ん?」 「…治ったら、すぐ返してくださいね」 「わかった、わかった」 「…」 堪らず笑い出した彼を膝立ちになって抱きしめる。 「…ほんとに、嬉しいです」 しずくよりもかなり身長の高い宗一郎に抱きしめるというよりも抱きつくみたいになってしまったが、少しでもしずくの気持ちが伝われば良い。 触れた身体からしずくの速くなった鼓動まで伝わってしまうかもしれないけれど、今はそれでも良かった。 「ありがとうございます…っ」 「…どういたしまして」 優しい声が耳元を撫で背に腕が回される。 自分を包む温かい体温に、しずくは微笑んで擦り寄った。 「今日は一緒に寝ようか」 「…一緒に?」 しばらくそのままでいると宗一郎に問われ、しずくはそっと顔を上げた。
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