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都心にある水族館は大人っぽくてモダンな佇まいだ。 ショーなどを行わない代わりにビジュアルに凝った水槽や特設の展示などがあり、しずくは美しい世界に魅了されてすっかり夢中になってしまった。 「しずく」 「…!」 そっと肩に手を置かれ慌てて顔を上げると、微笑んだ宗一郎と目が合う。 どうやら宗一郎の呼び掛けを無視してしまったようで、しずくは赤くなって謝った。 「すみません、周りが見えなくなってしまって…」 「いや、君が楽しめているなら良いよ」 「…はい…」 「少し休もうか」 宗一郎の提案に時計を見ると、ここへ来てからかなり時間が経ってしまっていた。 宗一郎は何も言わないが、きっと退屈だっただろう。 「…すみません、休みましょう…!」 「ん?あぁ…」 自己嫌悪に陥ってしまったしずくは、少し落ち込みながら宗一郎と近くにあったソファースペースへ向かった。 「何か買ってこようか」 「ぁ、俺が買ってきます…っ」 「だが…」 「だ、大丈夫ですから、ここで待っていてください」 宗一郎を何とか座らせ、しずくは一番近いカフェスペースへ急いだ。 「…宗一郎さん、呆れてないかな」 足早に歩きながらしずくは先程の事を思った。水族館にすっかり夢中になって、折角一緒に来てくれた宗一郎を退屈させてしまった。 ──宗一郎さんは俺といて楽しいのかな。 …デートだって、言ってくれたのに──。 歩きながらすっかり考え込んでいたしずくは、すれ違いざま背の高い男性にぶつかってしまい慌てて振り向いた。
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