#15

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「朝ごはん、用意しますね」 「すまない」 微笑んだ宗一郎がテーブルに向かうのを見守りつつ、しずくは朝食を用意する。 朝方まで仕事をしていた宗一郎が起きたのはブランチの時間で、トーストやサラダに加えて夕食用に煮込んでいたポトフを添えた。 「お待たせしました」 「ありがとう」 宗一郎の前にトレーを置いてしずくは微笑んだ。 「お仕事は無事終わりましたか?」 「あぁ、朝方神崎に送った」 「良かったです」 宗一郎がスプーンを持つのを見届けて、しずくは窓辺に向かった。 「これ、美味いな」 「夕飯もポトフなので、申し訳ないですが」 「充分だよ」 苦笑して言えば宗一郎が可笑しそうに笑った。 しずくはラグに座り再び外を眺めるが、相変わらず暗い空に思わずため息をつく。 「…雨が続くな」 「はい…」 心無しかしゅんとしたしずくに気付いた宗一郎が、外を見て納得したように言った。 強くなってきた雨が大きなキャンバスに雫を残していく。 しずくはそっと内側から雫をなぞった。 「…ふふ」 ──ちょっと可愛い。 じっと見ていると丸い宝石のように見えてきて、しずくは微笑んだ。 「楽しそうだな」 「わ…!」 思いの外近くから聞こえた声に、驚いて隣を見る。 朝食を食べ終わった宗一郎がいつの間にか傍に来ていたようだ。笑った宗一郎がしずくの頭を撫で、隣に腰を下ろした。 「君は意外なものに夢中になるな」 「ぅ…」 宗一郎の言うことはあながち間違いではなく、図星を指されてしまったしずくは何も言えず赤くなった。
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