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「それじゃ、ご飯作らなきゃね。君は食べたい物とかない?和 洋 中 伊 仏 なんでも。」
「・・・・・・そんなに作れるんですか?」
和洋中ならともかく、聞いたこともない伊 仏なんて。
その人は颯爽とキッチンに立つ。
私はソファーに座ったまま不思議そうに言った。
「もちろん。小学生の時から独り暮らししてたから。家事なら得意だよ。」
小学生から......?そんな小さな頃からどうして......?
私もあらかた同じようではあるが、独り暮らしではない。
本当にこの人は何なの?
秘密主義だし、普通は小学生からなんて有り得ないし、とはいえ根がひねくれている訳でもない。
普通ではない私でもそれぐらいは知っていた。
「嫌いな物とか好きな物は?」
「・・・・・・大丈夫です。」
考え事をしていると私が話しやすくしてくれているのか疑問系で私に聞いてきた。
少しだけ反応に困ったが経験上甘えるなんて許されない。
私は腹を括った。
「大丈夫・・・・・・?なんでも食べられるってこと?」
「半分そうです。私は食べなくても大丈夫なので放って置いて結構ですから。死ぬ訳ではないので。」
実際にそうだった私にとっては当たり前で日常茶飯事だったので何の抵抗もなかった。
その人は困って苦笑していた。
「そんな訳ないよ。なら君はどうするの?」
「そうですね、残飯でも消費期限切れの物でも・・・・・・水だけでも構いません。」
「消費期げっ!?・・・・・・あのね、消味期限切れは美味しく食べられないだけでまだ安全ではあるから食べられるけど、消費期限切れは安全じゃないし、美味しくないし、第一体調を崩す可能性が大いにあるんだよ!?」
その人はずかずかと私のところに来て呆れや怒りや心配を含んでいた。
豆知識を披露された私は呆然と頷いた。
それがどうしたと言うんだ......?
「はい。」
「はいじゃない!女の子なんだからそんなこと言わないの!」
「・・・・・・その気持ちだけで嬉しいです。」
「うわっ、絶対そんなこと思ってないでしょ?」
その人は引き気味に口の端をひきつらせてそう言った。
私は正直なのでぴくりとも動かない表情のまま力強く頷く。
「はいっ!!」
「そういう時だけ生き生きしてるね!?」
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