或る冬の鳥

四

「く……こ……これは……ちょ、超美味い……」

「あはは、でしょ？
ほら。
ハッピーメリークリスマース！
かんぱーい！！」

「メリー……クリスマス……」

「何を首傾(　　かし)げてんのよ、しつこいわね。
さてと、クリスマスが終わったら次はお正月かぁ。
何する？
今度は手作りの初日の出でも見に行く？」

「おぶっ！？
なんスか、手作りの初日の出って……。
鳥とはまた規模が桁違いなんですけど……この場合は一体どこからどこまでを手作りするおつもりなんですか……？」

「えぇ？
手作りって言ったら、全部よ、全部。
当然でしょ？」

「……太陽も？」

「もちろん」

「どうやって？」

「っさいわねぇ、全知全能なんだから何でもできるに決まってんでしょ？
いいからあなたももっと飲みなさいよ！
このシャンパンも作るのけっこう苦労したんだから！」

「これもご自分でお作りに！？
職人の手作りとかそういうことじゃなくて！？」

「そうよぉ、あはははぁ、でもちょっと手順を間違えちゃったかしらぁ、アルコールが九十九％ぐらいあるわぁ、これぇ」

「なんか既にものすごい酔っ払ってらっしゃる！？」

「まぁいいじゃない別にぃ！
何はともあれハッピーメリークリスマース！
地球のみんな！
愛してるわ！
右の手作り頬を殴られたら左の手作り頬も差し出しなさぁい！」

「なんか神様っぽいことを言い出した！？
確かにもしかしたらそうかも知れないというような思わせぶりな台詞もたまにあったけれども！？」

「いやぁーん、駄目よぉ、いきなり入ってきたりしちゃぁ。
ちゃんと二礼二拍手一礼してからの、お・た・の・し・み」

「色々ごちゃ付いてる！」

「おほほほ、いつまでも理屈っぽくうるさいツッコミばっかりしちゃってるわねぇ、ほんとにぃ。
そんなのどうでもいいじゃない。
ほら、飲んで飲んで。
そんでいい感じになってきたところで二人で子供でも手作りしましょうよ。
そういう日でもあるんでしょう？
日本のクリスマスなんてもんは」

「確かに日本人の誕生日は恐らくクリスマス前後に何らかがあったと思われる九月下旬に多いって言うしね！」

「そういうことよ！
ハッピーメリークリスマース！！」

「うわぁーい、良いお年をー！」

良いお年を◆