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三
「うわぉぅっ!?
突然に首を落としたり羽をむしったりワタを抜いたり、って……本当にこれが手作りの鳥なのか!?
この内臓感とか……こんなもん完全に本物の……うぇっ……」
「ヒいてんじゃないわよ、内臓ぐらいで。
どれもこれも、いつも調理済みのもんが出てきたらアホみたいな顔して美味い美味い言って食べてるじゃない。
ほら、これがレバー、これがハツ、これが砂肝、これは激レアきんかんよ、焼き鳥屋でもお馴染みでしょ?
まぁあたしもこんなキモいもんをよく作ったなぁとは思うけど、機能的なことを考えるとどうしてもこういうことにしかならなかったのよね」
「機能的なこと……?」
「あぁもう、いちいちうるさいわね。
いいからほら、ここからまた仕上げなんだから、サプライズ的なこともあるし、いったん邪魔だからあっち行っててよ、この手作りのシャンパンとか手作りのケーキとか持って」
「今度は手作りのシャンパンとケーキ……。
いや、しかしこれは成立してる……か……?
手作りのシャンパン……手作りのケーキ……。
……うぅーん……手作りの鳥……手作りの……鳥……」
「しつこいわねぇ、いつまでもうじうじと、大して出来も良くない頭でいちいち理屈に変換して物事を捉えようとして。
男のそういうとこ、けっこう嫌いよ。
……はい、できました」
「早っ!!
嘘でしょ!?
今なんか手元で白い煙みたいなのがぼわ~んってなっただけだったじゃん!?
何したの!?
あれだけでなんでこんな世界の全鳥料理フルコンプリートみたいな、ものすごいクオリティの料理が何品も……!?」
「だからいちいち理屈で考えてんじゃないわよ。
何?
この期に及んでまだ賢いアピール?
理路整然と謎を解明して現象を説明して結論づけて、それで何か勝った気になろうってつもり?
理屈でマウント取って女を支配して亭主関白気取りたいつもり?
気持ち悪っ」
「いや、そういう話じゃ……」
「だったらいいからまずは食べてご覧なさいよ。
世の中結果がすべてだってさっきも言ったじゃない。
とにかく美味しければ何でもいいんでしょ?
うんこ味のカレーとカレー味のうんこを出されたら迷わず後者を選ぶのが幸せの秘訣だって心理学者も言ってたわ」
「いや、ちょっとよくわからないんですけど……。
じゃあ、とにかく、あの……いただきます……」
「どうぞ、たんと召し上がれ。
うふふ、どう?」
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