教習所

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教習所

彼の名は大河内琢磨 工業高校三年の18歳 彼女なし十八年 一回高校一年のバレンタインにチョコを渡され 告白されたが 家が貧乏な上 私服をほとんど持っていない 家や外では基本ジャージ そんな自分に彼女なんて全く無理な話だった そんな琢磨もうすぐ卒業そして就職。 学校はもう行かなくても行ってもいい状態 来年は弟が高校生と妹が中学生 少しでも稼いでおきたかった 琢磨は進学を諦め大学には行かない でも弟や妹には大学に進学させてやりたい そんな気持ちで一杯だ 学校行かなくていいなら休んでバイトして金を稼ぎたいと バイトのスケジュールを無理矢理詰め込み働いていた そして、就職先で免許がいるので教習所に来ていたのだった 午前の学科の授業も終わり午後から実技の授業 それまで二時間もあるので、買っておいたパンとジュース片手にパソコン室へと向かう ここの教習所の良いところは、パソコンで学科のテストの勉強が出来る しかも実際の過去問から出る上に、クリックするだけでいい 尚且つ、答え合わせの時にどこで間違い何問合ってたか出るようになっている 皆凄く助かっていた パンを食べながら行ってみると そこはほぼ満席の状態だった 「うわっ」 どうしたらいいか悩む 何故なら空いてる席が女性の間 女性が苦手なだけに困ってしまう 仕方ないかとそこに座ろうと思うと窓際の席が なんと西口さん 信じられないことだった 「マジか」 彼女の名前は西口綾子さん 琢磨の小学生から中学生の頃まで同じ学校でマドンナ的存在 見た目はクールで物静かそうな雰囲気なのだが、意外に話しかけてくれる上に、凄く気の気配りが出来て、尚且つ誰にでも優しく接してくれる 琢磨はよく女子に見られがちで 避けられてたので 優しく接してくれる彼女の事が好きだった ただライバルは多く 既に彼氏がいると言う噂 しかも年上で金持ちの彼氏 家が貧乏で尚且つ成績も悪い 顔も平均以下 スポーツが少し出来る程度で 決していいとはいえない そんな琢磨が彼女に告白するなんて 夢にもほどがある 絶対断られるし、それが切っ掛けで避けられたらもう学校に行けない そう思いを抱きながら中学を卒業していた 高校に入ったら彼女の事忘れられる そう信じ通っていたがこれが中々忘れられない 高校は違うが同じ方向 しかもたまに会う 彼女も気付いたら「ニコッ」って笑顔を向けてくる その度にドキドキしてたまに、勘違いしてしまいそうになる そんな彼女の横に座る 琢磨には難易度が高過ぎてしまった 気にしたら負け 向こうはこちらをただの同級生としか思ってない だから気にしない そう思い込み 行動に移すしかなかった 「よし。行くか」 意を決して彼女の横に座る 反対側の女の子がこちらを見た 凄く見られていた 視線を感じながらも座る すると西口さんがこちらに気付く いつもの優しい笑顔でこちらを見てくれた 「大河内くんじゃん。久しぶり」 「うん。久しぶり」 「この教習所通ってるって聞いてたけど会うの初めてだね」 「大抵午前中で帰るからね。昼からバイトでいないことがほとんどだから」 「そっか。綾、午後から来てたから会わなかったんだね」 「って西口さんなんでこの教習所??近くの行かないの??」 「だって、こっちの教習所パソコンで勉強出来るし学校から近いし」 「あっそっか。学校こっから直ぐか!!」 「大河内くんはなんでこっち??」 「俺??バイト先がこの近所なんよ」 「へぇ~。バイトっ…」 そんな会話を緊張しながら交わしてた。 その時 ドーーーーン 周囲に響く爆発音 その瞬間辺りに響く低く静かな声 「ミツケタ!!」
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