そして転生

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そして転生

「う~ん………頭が痛い。って、ここ何処??」 回りを見渡してみる 一面見渡す限り真っ白 空も地面も真っ白 そもそも地面や空があるのかどうかもわからない 「ここはいったい??何でこんな場所に??」 疑問に思いながら辺りを見渡すが何もない ここでじっとしててもきりがない 動くしかないのだ 「少し歩いてみるか!?」 歩けど歩けど何もない 歩いてるのかどうかもわからない 何せ地面の感覚がない まるで飛んでるかのようだ そして気が付く 「俺の身体がない!?」 そう自分自身の身体が見当たらない 触って確かめようにも手もない 目線を動かすことは出来るのだが、そもそも動かしてるのかどうかもわからない 「どういうこと」 全く意味がわからない パニックになるしかなかった それもそうだ 身体がないのに平常心でいられる方がおかしかっつ 「気が付いたか!?」 声が聞こえた 声のした方を見るも何もない むしろ声は頭に直接響いたように聞こえたのだ 余計にパニックになってしまう 相手が見えないのに声だけするなど恐怖でしかないのだから 「誰?!」 「私はお前たちの概念で言えば神だ。好きに呼べばいい」 「へっ神様?!」 頭真っ白になって変な声が出てしまう 神様がいたことに驚くのもそうだが、そんな存在など一切信じていなかったからだ その神様が琢磨の前に現れた 実際には声だけだが 何の用なのかわからない 何で自分の前に現れたのかそれさえもわからない 色んな事が頭をよぎるのだった 「私は神であって神ではない。ただ世界を作るために存在し見守るもの。そしてこれは夢ではない。現実でもない。ここは世界の狭間だ」 「へっ??心の声聞こえるの?!って世界の狭間って何??」 「お前の頭に直接語りかけてるのだ。聞こえるのは道理。世界の狭間は世界と世界の境界。お前たちで言う異世界と言う存在だ」 「異世界??へっ?!それってよく小説になってる??ハハッ。俺この歳で厨二病発生か~。ヤバイな」 転生物の小説によくあるパターン それが自分の見に起きてるのだ 信じられるわけがない 信じる方がどうかしてるのだ 「信じるも信じないも好きにするといい」 「何で俺、転生することになったんです。やっぱり選ばれし勇者だから??」 「人は必ず死ねばこの世界に来る。そして転生は誰しもがすることだ」 「へっ?!夢なのに理不尽」 「大抵の場合は、この世界に来た時点で記憶を失っているのだが、前世に大きな後悔や悔いが残ると、稀に記憶を持っている事がある」 「へぇ~。んでどうしたらいいの??」 もうどうでもよくなる琢磨 どうせ夢なのだ 好きになればいい 自分には関係ないのだから 「何もしなくていい。来世でも好きに生きれば良い。ただ前世でかなりの徳を積んでいる。生まれ変わる世界は決まっている。その世界には魔法やスキルというものが存在している。融通は効かそう」 「マジか!!何でもいいんです?!」 「不可能なものはある。概念を覆したり行動を制限したりするものは不可能だ」 「それって無敵とか不老不死とかハーレムとか無理ってこと??」 「それで大体あっている」 「…………………………………………………………」 下を向きながらものすごく悩む そもそも夢の中なのに理不尽 しかも転生物でよくあるチート能力とかハーレムとか出来ないときた そして考えた結果 「じゃぁ………かなり高い身体能力と魔眼それに恵まれた環境。それとそれと………」 「来世では魔法がある。6大元素と呼ばれるものがな。火 水 土 風 光 闇 この6つだ。お前の場合光の適正はない。闇の適正があるので、闇を含む好きなのを3つ選ぶといい」 「3つか!?微妙だな!!しかも1つ決まってるし!!勇者って言ったら光なのに適正がないって!?」 怒り心頭になりたくなる 自分は勇者になりたかったのだから 男の子なら一度は憧れる勇者 その勇者にとって光は重要 それがないと言われてしまった ダーク勇者なんて困ってしまうのだから 「はぁ。まっいっか。なら?!火と土かな!?」 「火と土と闇だな。其々の適正レベルを最大にしておく。これで徳は使いきった」 「えっマジ?!チートあるじゃん!!やったね」 素直に喜ぶ琢磨 いきなりから凄い力が手に入ってしまった これで無敵、無双ができると思ったのだが 「勘違いしてるようだが、最小レベルと最大レベルの差は10%程。鍛えなければそれも意味がない。しかも適正があると言っても使えるとは限らない。全てはお前次第だ」 「はっ?!何それ夢なのにとことん理不尽。いや。俺の夢だからこんなもんか」 落ち込む 憧れの無敵、無双が崩れていく 今にも泣きたい気分だった 泣きたくても目が付いてるかどうかもわからないが 「よいか?!他に質問があれば受け付けるぞ」 「質問か?!ん~そこって魔物とかいますよね??」 「いる」 「人間以外の種族もいますよね??」 「いる」 「どんな種族がいるんですか??」 「人族 魔族 エルフ族 ドワーフ族 獣人族 妖精等だ」 「おぉぉぉぉ~。キター!!フッフッフッ。勇者になって魔王を倒して英雄になってハーレム築いて…………ムフフ!!」 「勇者も魔王もいるが、争いはもう終わっておるし、そもそもお前が生まれ変わる先は魔王の子だ」 「はぃ??魔王の子?!イヤイヤイヤイヤ。人間にしてください」 「ならお前の願いである魔眼はないが構わんか?!」 「やだ!!!!神様ですよね??両方叶えて!!」 「神ではないと言ったはずだ。それに概念を覆すことは出来ないとも申した」 「ケチッ!!じゃぁ………魔王の子でいい」 「他に質問はあるか??」 「ないです」 「では、生まれかわらそう」 辺りが光輝く もう一度意識を失っていった
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