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5歳
テイクはこの世界に生まれてから五年経った
色々わかったことがあった
一つ
本当に転生していた
最初は夢なのではないかと疑っていたが
五年も経てば流石に信じてしまう
一つ
この世界には魔法がある
異世界もので良くある魔法
そして魔石
魔道具まであった
一つ
テイクには許嫁がいる
未だ会ったことのない許嫁
名前だけは知っていた
その名をミリア・ホーネット
最南端の都市の領主の娘
あまりの美しさに嫉妬さえ覚えないと言われている女の子
それを聞いたテイクは
心の中でガッツポーズをした
異世界最高と
そして今日テイクは鑑定の儀式を迎える
それは自分自身のスキルを知る儀式
五歳になるまで魔法を使ってはならない
そう法律でも戒められ
スキルも知ってはならないとされている
どんな危険な行動を移すかわからないからだ
魔族は五歳で人で言う八歳相当になる
ある程度行動が制限できる歳とされている
「やっとこの日が来たか」
テイクはこの日を誰よりも待ち遠しかった
何故なら憧れの魔法
それを使いたいのに使えない
理由は魔力暴走を起こすかもしれないからだった
五歳になるまで安定しないと言われている
実際、何人もの子供が魔力暴走を起こし死んできた実績がある
魔族は出生率が低い
中々子供ができにくい
人族は出生率が高いので有名なのだが
魔族は全種族の中で断トツに低かった
そんな低い状態なのに魔力暴走で失う子供
それを少しでも減らさないと魔族の未来がないのだ
対策を打たれて当然だった
「ライム。お前は何時起きるんだよ。早く起きろって」
スライムのライム
テイクの友達兼家族
小さい頃に出会った稀物のスライム
それがずっと眠ったまま
深い眠りに付いて二年も経ってしまっている
何をしても起きない
眠ったままだった
ライムのスライムボディをつついて遊ぶ
テイクの日課だった
柔らかく弾力がある
その上冷たくて気持ちいい
大好きだった
「ククク。俺は準備できたんだけど、まだ来ないのかよ」
一人愚痴る
もうどれ程自分の部屋で待たされたか
メイドが一向に迎えに来ないのだ
暇でしかたがなかった
すると
コンコン
「やっと来たよ」
誰かが部屋をノックする
そして声が聞こえる
「失礼致します。テイク様お待たせしました。準備は宜しいですね。大切な儀式です。今回のメインはテイク様なのですから、侮られるような事はしないようお願い致します」
メイドのネイルが注意してくる
正直耳にタコだった
何日前から何度も言われ続けているのだ
いい加減飽き飽きしていた
「わかってるって。行きますか」
「では、案内致します」
ネイルが扉を開けててくれる
遠慮なく通っていく
そしてネイルが前に先に立ち
先導していく
「いいですか?!何度も言いますが、儀式中決して下を向いてはなりません。前を向き胸を張り過ごしてください。神官がスキルを教えてくれる時だけ膝まずき下を向き両手を重ねてください」
「聞き飽きた」
「何度でも言います。私にとってテイク様は全てなのです。侮られる等、許されることではありませんから」
「ハイハイ」
「それと、テイク様の嫌いなタイプの貴族もいます。態度に出さないように。それから………」
「わかったって。五月蝿いな」
これも何度も言われ続けている
いい加減嫌になっているのだ
だが
仕方がなかった
これだけ大事な儀式
そして
メインはテイク
そのメインであるテイクは
魔国の王子
侮られる訳にはいかなかった
暫くあるくと城内の協会に着く
外には大勢の人がいた
中に全て入れなかったのだろう
その全てが今か今かと待ち遠しくて仕方がなかった
「今日は魔王様もお妃様も来ておりません。魔王様は来客の対応中。お妃様は公務で忙しく来れないようです」
「マジかよ。父様と母様にいの一番に知らせたかったのに」
「これだけは仕方がありません。私が側にいますので」
「ネイルが?!不安」
ジト目ネイルを見る
それを言われ少し怒るネイル
流石に不機嫌になってしまった
「なっ?!ハァ。子供の頃から可愛くないけど、本当に可愛くない。今日は真面目モードなんですから、お茶らけるのも程々にしてください」
「はーい」
扉を開けるネイル
その先に進むテイク
足取りは軽いようで重い
待ちに待った儀式
そして
知りたくない事実を知ることになるのだった
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