ジェイコブ・マーレイ(既存の曲にはめこみ)

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ジェイコブ・マーレイ(既存の曲にはめこみ)

 20代の第一期量産期の作品です。  音楽教室ではめ込みを覚えました。  はめ込みとは曲のリズムに合った文字数で詩を書くことです。  「はめ込み」という名の授業があったわけではないので、この表現で正しいかどうかは少し不確かです。  私の作詞は音楽がベースにあると、人に伝えるのが難しくなります。  リズムに引きずられてしまって、物語を5W1Hで説明できなくなるのです。  頭に浮かんだドラマのイメージを、私にしかわからない日本語の羅列で書いています。  幸運なことに、音楽教室ではこういう名詞、熟語の羅列、意味不明ものは、結構喜ばれるものでした。  既存の音楽に自分の詩をはめ込むのって楽しいんです。  編曲済みの完成曲って(ヒット曲は特に)、どの楽器パートも刺激的で。  このくだりはこういう日本語使おう、ここでは濁音、破裂音など(一般に汚いと言われる音)の漢字熟語だらけにしてパンチを食らわせようとか、もう日本語遊びが楽しくて楽しくて。  ――でもライブで歌ったら、観客の女の子が「替え歌~」とコケにするわけです。  ああ、自分が情熱を注いで作ったのは替え歌だったんだってその時、思い知りました。  替え歌じゃあなあ、レベル低いし……。あー、私の情熱が~。
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