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宇宙につながっているような蒼黒い空にそびえる、縞の王の白亜の城に向かって、赤茶色の荒野に浮かぶ地層のような模様が、曲がりくねりながら伸びていた。水玉の女王の使い、妖魚リールは、ようやく見えてきた縞の王の居城へと飛行を続けながら、黄緑色の斑点を浮かべた銀色の皮膚が渇いていくのに焦っていた。
縞の王の居城の城壁は、白亜の石の間にピンクや茶色の横長の石がはめ込まれている。そびえ立つ尖塔は、白と黒のストライプ。尖塔に掲げられた、えんじ色と金色のレジメンタルの旗が、雲一つない空にはためいていた。
城門の前でリールは停止した。空堀にかかった跳ね橋が、青空から突き刺さるように上がってはいるものの、門は開いている。リールは、強大な”力”が侵入を拒んでいるのに気づいた。
<生臭いぞ>
城門の上に、スズメバチのような黒と黄の横縞の門番が現れて、リールに呼ばわった。
<水玉の魚が、高貴なる縞の王の城に何用だ>
リールは、城門自体に満ちている、攻撃的な”力”に脅えて、銀色の汗を落としながら、懸命に叫び返した。
<われは水玉の女王からの使いなり。縞の王にお目通りを願いたい>
リールの想いが真実であるのを感じとったか、門の拒絶の気が弛み、開いた。リールは城門をくぐり抜けた。
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