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街の中をぐるっと回ってそろそろ家に戻ろうかという時でした。いい匂いが漂っているのを2人の鼻が捉えます。思わずお腹がすいてしまいそうな匂いです。
「このいい匂いは何?」
男の子は鼻をひくひくさせながら尋ねます。
「これは焼き芋の匂いだね。この時期だと多分、あっちにある赤い屋根の家のおばさんが焼いているんだろう。さつまいもという甘いお芋で、とってもおいしいんだよ」
「おいしいの?!僕も食べてみたい!」
そう言って男の子はおばあさんの周りをぐるぐる回りました。目がきらきらして、心なしか涎がたれそうな顔をしています。
おばあさんは、ため息を一つついて、
「しょうがないね、あの家なら大丈夫だ。おいで、えさのねだり方を教えてあげよう。坊やは、小さくて可愛いからきっとたくさんもらえるよ」
「ほんと!いっぱいもらえたら、お母さん達へのお土産にしよう!」
そうして茶虎の老猫と白色の子猫の二匹は匂いの方向へ足を向け、塀の隙間へ消えていきました。
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