1/1
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

 街の中をぐるっと回ってそろそろ家に戻ろうかという時でした。いい匂いが漂っているのを2人の鼻が捉えます。思わずお腹がすいてしまいそうな匂いです。 「このいい匂いは何?」 男の子は鼻をひくひくさせながら尋ねます。 「これは焼き芋の匂いだね。この時期だと多分、あっちにある赤い屋根の家のおばさんが焼いているんだろう。さつまいもという甘いお芋で、とってもおいしいんだよ」 「おいしいの?!僕も食べてみたい!」  そう言って男の子はおばあさんの周りをぐるぐる回りました。目がきらきらして、心なしか涎がたれそうな顔をしています。  おばあさんは、ため息を一つついて、 「しょうがないね、あの家なら大丈夫だ。おいで、えさのねだり方を教えてあげよう。坊やは、小さくて可愛いからきっとたくさんもらえるよ」 「ほんと!いっぱいもらえたら、お母さん達へのお土産にしよう!」  そうして茶虎の老猫と白色の子猫の二匹は匂いの方向へ足を向け、塀の隙間へ消えていきました。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!