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木製のベンチは冷たくて、座り心地は最悪でした。
眩しいイルミネーションが辺りに満ちています。誰に頼んでもいないのに、マフラーが夜風に吹かれて、首筋が冷たくなっていきます。同時にお腹の辺りから、だんだん冷たい何かが全身に回っていくのを感じます。
広場には人がたくさんいました。楽しそうに、手を繋ぐ恋人たちが。幸せを謳歌している人々が。
腕時計の針は間もなく九時を回ろうとしていました。私が来たのは六時頃でしたから、これで三時間が経ったわけです。女の子をこんな寒い外に三時間も待たせているのです。酷い仕打ちです。
『おかけになった電話をお呼びしましたが、お出になりません』
スマホから機械音声が流れて、電話を切りました。そして、もう一度電話をかけました。
『おかけになった電話をお呼びしましたが、お出になりません』
また同じ機械音声が流れます。
私はまた電話を切り、再び電話をかけました。
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