失恋。

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本当は、別れたくなかったけど 離れて行く理人を受け入れられずに別れた。 そんな理人とまさか、こんなところで会うなんて……。 私は、思わず動揺する。 「久しぶりだな」 「そ、そうね……何年ぶりかしら。 いつ日本に戻ってきたの?まさか、ここの シェフになったなんて驚いたわ」 出来たら、今の状態で会いたくなかったけど……。 あぁ最悪だわ。幸せなところを見せるならまだしも 失恋して虚しく1人でディナーをしているところを 見られるなんていい笑い者じゃない。 「俺達は、もう30歳だしな。最近戻って来たんだよ。 それまでずっとパリで働いていた。で? お前は、何でここに?彼氏は遅刻か?」 「まだ遅刻の方がどんなにマシかしらね」 「えっ?まさか別れた……とか?」 うっ……。 図星のことを言わないでよ……。 今、笑い者にされたら立ち直れないのに。 「……マジかよ?」 「マジだったら、何なのよ!? あなたには、関係ないでしょ? 私は、今凄く1人でワインを飲みたい気分なの。 だから放っておいてよ」 彼氏にフラれるし、今さら会いたくない元カレに 会うとか、どれだけツイてないのよ……私。 あぁ、情けなくて涙が出そう。すると理人は、 「はいはい。相変わらず気が強いな。 また、後でな」と言うと 頭をポンッと撫でて行ってしまった。 またって……何よ? 急に頭を撫でられたためドキッと心臓が高鳴る。 優しくて温かい手だった。一体何なのよ!?
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