失恋。

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心臓がドキドキしながら理人の行動を見ていた。 ずっと憧れていたシェフになれたんだ。 白い服にコックの帽子がよく似合っていた。 なんか前より、カッコよく見える。 もともと理人は、カッコ良かったからモテたけど 今も……モテモテなんだろうな。 自信に溢れている彼は、何処か眩しくて さらに遠くに行ってしまったような気がした。 胸がズキッと痛んだ。 それからやけ酒とやけ食いをした後。 私は、フラフラした足取りで部屋に戻ることにした。 レストランから出る時に理人に 部屋番号を聞かれたような気がしたけど 酔っていたのもあり、あまり気にせずに教えてしまった。 まぁ、いいわよね……どーせもう関係ないし。 酔っているせいで頭の回転が追い付かず気楽に そう考えていた。部屋に戻るとすぐに窓を開ける。 肌寒いが、東京タワーが見えていい眺めだった。 クリスマスってこともあり あちらこちらにイルミネーションが輝いていた。 黄金色に輝く電灯の光り。 赤、緑、黄色と電灯がキラキラして クリスマスらしく輝いていた。こんな景色を見ながら ワインを飲んだり恋人と一緒に過ごせたら なおロマンチックだっただろうか。 本当だったら今頃。元カレと一緒に この光景を見て将来のことや 甘い言葉を語り合っていただろう。 プロポーズだってされていたかもしれない。 そう思ったら涙が溢れてきた。 何で?元カレは、友人を選んだのだろうか? 私にはない魅力を持っていたから? それとも、仕事や何やらで すれ違っていたせいだろうか? 確かに友人の方が可愛くて家庭的な子だったのかも しれないけど……あんまりだわ。   明日から何を励みに働いたらいいのだろうか。 それとも、これから新しい恋に向けて 頑張れるのだろうか? 新しい恋……。 そう思った時、理人の顔が一瞬浮かんだ。 いやいや。あれは元カレだ。 もう別れて随分経つし遠い過去の恋だと忘れたはず。 ブンブンと首を振るう。忘れよう……。 でも……シェフの姿は、とても似合っていたわ。 あんなに夢を持ってずっと憧れていた シェフの道をアイツは、切り開いたんだ。 自分の力で……。 私と正反対で何だかカッコイイ……。  昔を思い出すだけでもドキドキしてきた。 変なの……ただ寂しくて昔にすがりたいだけかしら? きっとそうに違いないと自分に言い聞かした。 すると部屋のチャイムが鳴った。 あら?まだルームサービスなんて 注文していないはずだけど……? 何処かの部屋と間違えたのかしら? 不思議に思いながら玄関のところまで行くと ドアを開けた。すると開けた瞬間驚いた。 理人だったからだ。何で!?
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